『撰集抄』第二帖第六話 死人頭誦法華・慈恵

第二帖第六話 死人頭誦法華・慈恵

過ぬる比、陸奥国平泉の郡と云里に、しばし
すみ侍し時、其あたり見侍しに、さかしは山と云山
有。木のをいたる有さま、岩のすかた、水の流る」四八オ

さま、絵に書とも筆及がたき程にみへ侍り。里を
はなれて十余町もや侍けん。あちこち俳徊し侍る(に)、
河のはたに高さ一丈なる石の塔を立たり。くぎ
貫しまはし、草払なとして、目出たくみへ侍し
かは、是はいかなる事にかと尋侍しに、或人の申
しは、中比、此里に猛将侍り。其むすめに有ける
物、法花経の読(本ママ、ヨミ歟)たく侍りけるが、をしへきなし
とて、朝夕なきなげきて過侍けるに、或時、天井上に
声有て云様、汝経を求て前にをけ。我是に
てをしへんときこゆ。あやしく思なから、経を」四七ウ

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