さま、絵に書とも筆及がたき程にみへ侍り。里を
はなれて十余町もや侍けん。あちこち俳徊し侍る(に)、
河のはたに高さ一丈よなる石の塔を立たり。くぎ
貫しまはして、草払なんとして、目出たくみへ侍し
かは、是はいかなる事にかと尋侍しに、或人の申
しは、中比、此里に猛将侍り。其むすめにて有ける
物、法花経の読(本ママ、ヨミ歟)たく侍りけるが、をしうへき物なし
とて、朝夕なきなげきて過侍けるに、或時、天井上に
声有て云様、汝経を求て前にをけ。我是に
てをしへんときこゆ。あやしく思なから、経を」四七ウ